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【書評】敬天愛人 稲盛和夫

【書評】敬天愛人 稲盛和夫

『敬天愛人』――原理原則を「徹底」する経営の強さ

本書の概要と評価

「敬天愛人」とは、「天を敬い、人を愛する」という意味を持つ言葉であり、西郷隆盛の座右の銘として、また京セラの企業社是として広く知られている。本書は、この「敬天愛人」という社是を軸に、京セラの歩みと稲盛和夫の経営哲学を紐解いた一冊である。

京セラが掲げる「敬天愛人」は、
「常に公明正大 謙虚な心で仕事にあたり、天を敬い、人を愛し、仕事を愛し、会社を愛し、国を愛する心」
と定義されている。本書を通じて、単なる道徳的スローガンではなく、経営判断や行動の基準として、極めて実践的に使われてきた理念であることが明らかになる。

wikipediaによれば「敬天愛人」とは明治の啓蒙思想家・中村正直が著した『敬天愛人説』において、キリスト教の「神への愛」を、儒教の「天」を通じて理解しようと試みたことのこと。東洋思想と西洋思想を架橋するこの概念は、後に稲盛和夫の経営哲学と結びつき、企業経営の中で具体的な力を持つようになった。なお、本書では「敬天愛人」を「天は道理であり、道理を守ることが敬天。人は皆自分の同胞であり、仁の心をもって衆を愛することが愛人」と説明している。

本書の価値は、理念を抽象論で終わらせず、具体的なエピソードによって「原理原則を貫くとはどういうことか」を示している点にある。とりわけ印象的だったのは三つのエピソードである。

第一は、稲盛和夫の最初のアメリカ出張のエピソードである。

1962年、1ドル360円という時代に、多額の費用を投じて渡米したものの、結果として受注は一件も決まらなかった。通常であれば「失敗」と評価されかねない出張だが、稲盛和夫は、受注の確約がなくとも「行くべきだ」と判断したという。

この判断の背景には、「自社の技術は世界の役に立つ」という確信があったに違いない。不確実性を理由に動かないのではなく、正しいと信じることで自信を持って実行に移す。この行動力と覚悟こそが、京セラの成長を支えた原点であり、原理原則を信じ抜く経営の象徴的なエピソードである。
自社の製品やサービスが世の中を良くするものであるなら、それを世界に広げる努力を惜しまない。その姿勢の重要性を、この話は雄弁に物語っている。

第二は、「社員はお客様の召使いであるべきだ」という言葉である。

京セラは製造業でありながら、サービス業と同じ心構えで顧客に向き合ってきたという。ここで言う「召使い」とは、言われたことをそのままこなす存在ではない。相手の立場を察し、先回りして考え、本当に役に立つ行動を取る存在である。

この姿勢が、製品の品質や信頼性に反映され、結果として企業の競争力を高めてきた。
一方で、「言われたことだけをやる仕事」や、安易な安請け合いは、かえって顧客との関係を損ないかねない。稲盛和夫が「値決めは経営である」と繰り返し説いたように、価格も含めて誠実に向き合うことではじめて、「お客様の召使い」としての役割が果たされる。この言葉は、顧客第一主義の本質を鋭く突いている。

第三は、アメーバ経営を支える理念の重要性である。

アメーバ経営は、組織を小集団に分け、独立採算で経営者意識を持たせる仕組みだが、それ自体は諸刃の剣でもある。理念が伴わなければ、過度な競争や不正を招き、組織を分断する危険性を孕んでいる。

だからこそ稲盛和夫は、「全従業員の物心両面の幸福の追求」というフィロソフィーを徹底的に浸透させた。経営の目的が、経営者個人の利益ではなく、従業員の幸福に置かれているからこそ、トップは正面から「一生懸命働くこと」を求めることができるのである。
経営12カ条の第一条が「事業の目的、意義を明確にする」であることが示す通り、アメーバ経営の根幹には、揺るぎない理念が不可欠であることがよく理解できる。

まとめ

本書を通して強く感じるのは、稲盛和夫の経営が特別な才能や奇抜な手法だけによって成り立っているのではなく、「原理原則を、誰よりも徹底して行う」ことによって築かれているという事実である。「敬天愛人」という社是は、飾りではなく、日々の判断と行動を縛る厳しい基準として機能してきた。

理念経営が形骸化しがちな現代において、本書は「理念とは、徹底して初めて力になる」というメッセージを投げかけている。経営者だけでなく、組織を率いるすべての立場の人にとって、自らの原理原則を問い直す一冊と言える。

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