【書評】心。 稲盛和夫
『心。』は、Amazonで『生き方』と並び150万部以上を売り上げたベストセラーである。偉大な経営者としての実体験と、仏教思想を土台にした人生哲学が凝縮された一冊だ。
本書が問いかけるのは、極めて根源的なテーマである。
「人生をどう生きるか。」
その答えは、驚くほどシンプルな言葉で示される。
「利他の心をベースに、日々の生活の中で、できうる限りの努力を重ねていく。そうすればかならずや運命は好転し、幸福な人生が訪れる。」
結局のところ、人生を複雑にしているのは環境ではなく、自分の「心」なのだと本書は説く。
人生は心がつくる
本書の冒頭には、次のような一節がある。
「人生で起こるあらゆる出来事は、すべて自らの心が引き寄せ、つくり出したもの。」
目の前の現実をどう受け止め、どんな心で対処するか。それによって人生は大きく変わる。
私は会社の責任者として日々判断を下している。業績が悪ければ、それは自分の責任である。社員を不幸にしてしまえば、それもまた自分の責任だ。
マイナスの事態が起こったとき、
・「もうダメだ」と思えば会社は終わる
・「次につなげる」と思えば会社は続く
現実は同じでも、心の持ち方で未来が変わる。
辛いときほど問われるのは能力ではなく、「いかなる心で向き合うか」である。そしてその心を支えるのが、「利他の心」と「できうる限りの努力」なのだ。
三毒 ― 心を濁らせるもの
仏教における三毒は三つの煩悩、すなわち貪・瞋・癡(とん・じん・ち)を指し、煩悩を毒に例えたものである。
貪 は、貪り、欲深いことを意味する。
瞋は、怒りを指す。
癡は、無知・蒙昧を指す。
なお、本書では「怒り」「欲望」「愚痴」とあり、一部、違いがあるが、本書の「怒り」「欲望」「愚痴」を採用する。
なぜ三毒が人生を苦難にするのか。それは、心を濁らせ、真実を見えなくするからである。
例えば、自社の商品が売れないという現実があるとする。本来、原因は一つであるはずなのに、
・自分たちのプライド
・思い入れ
・「売れるはずだ」という願望
これらが混ざることで、真実が見えなくなる。真実を見ることは難しい。しかし、「自分の心は濁っていないか」と問い続けることはできる。
経営においても人生においても、まず磨くべきは戦略ではなく心なのだと気づかされる。
心を磨く方法は特別ではない
心を磨くために、特別な修行は必要ないと稲盛氏は言う。
「いま行っている仕事に全精力をかけて没頭する。それこそが精神修養となる。」
これは非常に勇気づけられる言葉だ。
座禅も滝行も必要ない。いま目の前の仕事に本気で向き合うこと。それがそのまま心の修養になる。
日々の仕事が、そのまま人格形成の場になる。そう考えると、働くことの意味が一段と深くなる。
まとめ
現代は、インフルエンサーが「華やかな生活」を発信する時代である。多くの人がそれを見て「幸福」と錯覚する。
しかし、その煌びやかな姿の中に「利他の心」はあるのだろうか。
SNSには怒りや欲望、愚痴を増幅させる情報があふれている。それらは人の感情を刺激し、拡散しやすい。
三毒が刺激され続ける環境の中で、心を澄ませ続けることは容易ではない。
だからこそ本書は、今の時代にこそ必要なのだと思う。
・幸福とは派手で贅沢な生活や外見ではない。
・真実は一つである。
・人生は心がつくる。
『心。』は、人生の真理を理解させてくれる一冊である。
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