株式会社オートプロジェクト

【書評】人を生かす 稲盛和夫

【書評】人を生かす 稲盛和夫

本書は、盛和塾の塾生から寄せられた経営上の質問に、稲盛和夫が答える問答形式で構成されている。取り上げられるテーマはいずれも現場に即したもので、抽象論ではなく、実践を前提とした具体的な回答が並ぶ点が印象的である。

「会社にとって最も重要なのは人である」という言葉をよく耳にする。しかし、その意味を本当に理解し、経営に落とし込めている経営者は多くないのではないだろうか。本書を読むと、なぜ人が重要なのか、そしてなぜ稲盛和夫が率いた京セラが世界的企業へと成長したのかが、極めて論理的に理解できる。

日本企業の約95%は中小企業である。稲盛和夫は「中小企業は人がすべて」と断言する。規模が小さいほど、社長という「人」の影響力は絶大であり、会社の成長段階に応じて、社長以外の人材の重要性も増していく。本書では、その過程を多くのケーススタディを通して学ぶことができる。

以下では、本書の中でも特に示唆に富む三点を挙げたい。

「誰にも負けない努力」は経営者への言葉である

稲盛和夫の経営12カ条にある「誰にも負けない努力をする」という言葉を、従業員にもそのまま当てはめてしまう経営者がいる。しかし本書では、それが誤りであることが明確に示される。

実際に、ある塾生は一般社員に朝4時から夜8時までの勤務を求めていた。これに対し稲盛和夫は、従業員は労働基準法で定められた範囲で仕事をすべきであると指摘し、二部制の導入を提案する。

「誰にも負けない努力」のように、経営者向けに書かれた言葉は、まず経営者自身が率先垂範して実行してこそ意味を持つ。従業員が共感し、自発的に動くのはその後である、という考え方は、他の著作とも一貫している。

営業人材は「情熱」だけでは育たない

営業は会社の成長に不可欠な機能であるが、その育成方法についての問いも本書で扱われている。
「会社の成長には情熱が必要」という塾生の意見に対し、稲盛和夫は「情熱だけでは不十分」と明言する。必要なのは、誰にも負けない努力に加え、人一倍の創意工夫である。

営業担当に対して「とにかく売ってこい」では人は育たない。自社の強み、技術、他社にはない価値を明確に伝え、それを武器として持たせることが重要である。そして、断られ続ける営業担当を社長としてどう支え、励ますのかも問われる。

さらに、優れた営業技術を教える以前に、人間性を高めるフィロソフィーが不可欠である点も強調される。能力と人間性の両立こそが、営業育成の本質だと説かれている。

人は「社長の器」以上は集まらない

ここでいう「器」とは、能力ではなく「こうなりたい」という思いの大きさを指す。

ある塾生は、創業当初からの社員が、売上100億円を目標に掲げた途端についてこなくなったと相談する。稲盛和夫は、会社を曖昧な目的で始めたのだから、その器に見合った人が集まっただけだと指摘する。人は簡単に自己変革できるものではなく、突然大きな目標を示されても対応できないのは当然だ。

一方で、器に見合った人材は、社長と会社が成長しなければ集まらない。そのためには、アメーバ経営のような経営管理の仕組みを導入し、組織として成長する土台を作る必要がある。さらに成長段階では、経営を支える副官的人材を見極めるために、人間性を見る目が重要になる。

最後に

ドラッカーは「リーダーと普通の人たちとの差は一定である」と述べている。リーダーの仕事の質が上がれば、組織全体の仕事の質も引き上げられる。

稲盛和夫のいう率先垂範とは、まさにこのことだ。社長レベルがあがり、また、考え方の器が広がれば、古参社員の成長の可能性も広がり、同時に新たな人材も引き寄せる。

「人をどう使うか」ではなく、「人をどう生かすか」。
本書は、その問いに真正面から向き合う経営者にとって、人事・組織論の根幹を学べる一冊であり、実務に直結する多くの示唆を与えてくれる。

IT担当者がいない企業のみなさまへ

株式会社オートプロジェクトでは、スタッフが直接お伺いし、PC・ソフトのトラブル解決や、クラウド導入の設定支援などを行います。現場で一緒に確認できる、安心の「訪問サポート」をぜひご利用ください。

オートプロジェクトに訪問サポートについての相談をする

Contact ご相談・お問い合わせ

実現の可否や概算費用、納期に関するご質問・ご相談も、
どうぞご遠慮なくお問い合わせください。

TOP