病院における物品管理システム開発事例 – 複雑な承認フローを解消し、効率的な在庫管理を実現
依頼の背景
ある病院では、物品の在庫管理や購入申請の手続きが非常に複雑であることが課題となっていました。
その理由は大きく二つあります。
まず、病院で扱う物品には次の二種類が存在します。
- 事務用品などの一般的な物品
- 医療機器や薬品といった医療関連物品
一般的な物品は「担当者 → 上長 → 総務担当」といった標準的な承認フローで済みますが、医療関連物品は在庫管理が厳密で、特に薬品については薬剤部門の上長による承認が必須でした。
このように、物品の種類によって承認者や承認ステップが異なるため、システム化が難しい状況でした。
さらに、依頼元の病院は複数の系列病院を有しており、部門構成も病院ごとに異なっていました。中には複数病院の上長を兼務している人もおり、一定以上の役職者であれば病院や部門をまたいで承認が可能です。そのため、必要な承認者や承認フローが一層複雑になっていました。
オートプロジェクトが行った開発・対応
こうした課題に対して、当社では以下のようなシステム開発を行いました。
物品タイプごとのフロー分岐
物品を「一般的な物品」と「医療関連物品」に振り分け、それぞれに必要な承認者や承認ステップを設定しました。これにより、申請から承認までの流れをスムーズにシステム上で実現できるようにしました。
バーコードスキャンによる在庫登録
納品された物品のバーコードをiPadで読み取りすることで、自動的に在庫登録が行えるようにしました。これにより、納品管理や在庫更新が簡単かつ正確に行えるようになりました。
破損理由報告書のシステム化による効率化
従来、病院内で使用している物品が破損した場合、新たに物品を発注するためには「破損理由報告書」を提出する必要がありました。しかし、この報告書と在庫管理の情報は紐付いておらず、報告後に別途在庫確認や購入申請を行うなど、申請者・総務ともに大きな負担がかかっていました。
今回のシステム開発では、破損理由報告書の作成画面で、あらかじめ管理されている在庫リストの中から破損した物品を直接選択できるようにしました。
これにより、承認者や総務担当者は、報告書を確認すると同時に在庫の有無を把握でき、在庫がある場合はそのまま支給することが可能になりました。
申請者にとっては、報告と購入申請が一体化されたことで手続きが簡略化され、不要な二度手間がなくなります。総務にとっても、報告書と在庫管理が連動したことで、承認後の物品支給フローを大幅に効率化できる仕組みとなりました。
導入効果
今回のシステム導入により、申請者の負担軽減、総務部門の業務効率化、そして系列病院を含めた承認フローの適正化を実現しました。病院全体として、物品管理の透明性と効率性が大幅に向上しています。
