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経営のこころ 稲盛和夫

経営のこころ 稲盛和夫

はじめに

稲盛和夫の著書『心。』や『生き方』を読むと、どうしても「徳の高い人格者」という、いわば“仏の顔”が強く印象に残る。しかし本書では、それとは対照的な「闘将」としての稲盛和夫の姿が鮮明に描かれている。

冒頭に掲げられる言葉が象徴的だ。

経営とは「闘い」である

一兆円企業を築いた経営者である以上、その内面に並々ならぬ闘志があったことは想像に難くない。本書は、その「闘う経営者」としての実像に触れることができる貴重な一冊である。

経営とは「闘い」である

稲盛和夫は、経営を明確に「闘い」と定義する。かつて営業担当に対し、次のように叱咤したという。

「市場で負けて逃げて帰ってきたなら、俺が機関銃で撃ってやる。後ろへ退却しても死ぬのだから、死んだ気で前に進んで闘え!」

極めて強烈な言葉である。しかし、この言葉の裏には「従業員を守る」という経営者としての覚悟がある。

同じ言葉を自分が言えるだろうか。そう考えると、この発言は単なる精神論ではなく、責任を背負った者にしか持ち得ない決意の表れであると分かる。

京セラは技術企業のイメージが強いが、その成長を支えたのは営業力でもある。経営とは、開発力と営業力の両輪で回るものであり、その両方を支えるのが「燃える闘魂」である。

経営とは知恵の出し合いである

一方で、稲盛和夫は経営をこのようにも定義する。

「経営とは、多くの物を売り、経費をなるべくかけないようにするという、その一点でのお互いの知恵の出し合いである」

非常にシンプルだが、本質を突いた言葉である。

売上を伸ばす工夫、コストを下げる工夫。これらは誰もが理解しているが、実際には十分に実践できていない。

稲盛和夫が強調するのは、「日々の仕事の改善」から生まれる知恵である。特別な発想ではなく、現場の積み重ねによってこそ“生きた知恵”が生まれる。

もし知恵が出ていないと感じるなら、それは改善の視点を持てていないだけではないか。そう自問し続ける姿勢こそが重要である。

技術開発の力を生み出す方法

技術開発についても、稲盛和夫の考えは厳しい。

「現在の能力の範囲内でしか約束しないのでは進歩はない。能力を超えた要求をするところにこそ、技術開発の力が生まれる」

人はどうしても「できる範囲」で考えてしまう。しかし、それでは既存の延長にしかならない。特にエンジニアは、自分の得意分野から発想しがちである。だからこそ一度、技術的制約を外し、「本来どうあるべきか」から考える必要がある。

その理想に対して、後から技術を追いつかせる。この順序こそが、革新を生む。

まとめ:理念と闘志の両立

経営12ヶ条の「燃える闘魂」。本書は、その意味を具体的に理解させてくれる。

「「絶対に負けるものか」という激しい思いが必要不可欠です。」

経営とは単なる合理性ではない。理念を持ちながら、同時に闘い続けることである。

知恵を出し、闘う。もし理想と現実に乖離があるなら、どちらか、あるいは両方が不足している。最終的に経営者に求められるのは、「従業員を守る」という強い意思と覚悟である。

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